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House_K2 夢のチェンバロの為の演奏室

「私のお葬式はしないで良いから、チェンバロ(ピアノに似た楽器)をオーダーしたい。」
夫人の強い懇願を快諾したご主人。和室2部屋面積約25uのこのスペースを、施主が人生の夢と定めたチェンバロの為の演奏室として、改修しました。

ダイナミックな音色の出せるピアノと異なりチェンバロの響きはとても優しく繊細、これを受け止める空間もまた、高い繊細さが必要でした。硬い桜の床、反射材としてのノコギリ天井、調湿材としての漆喰塗装など、用いる素材を最小限にとどめると共に、そのディティールもまた最小限としています。天井に現れた一本の梁は、40年前の新築当初からのもので、このホールの個性とも言えるかもしれません。夫人の夢のチェンバロの響きが、この小さな小さなホールに満ち溢れ、人々の心に届く様願っています。

宮原輝夫 宮原建築設計室