House_TN - 都市の拡大家族の家 #2 - 東京の西端、多摩川の堤にあるこの住宅は、2人の姉妹とそれぞれの家族の為に計画されたものである。仲の良い姉妹とは云え、それぞれに家族を持ち別々の生活があり、共に住む事は容易ではない。この住宅を設計する為に、都市における家族と住居の関係について再考する必要があった。 敷地前面道路は、輸送車両の交通が非常に多く満足な歩道も無い。交通振動や、大気汚染など心配は多いものの、この土地が選ばれたのは、やはり代え難い多摩川への眺望の為である。周辺には住宅に混じり工場や倉庫等が多く建ち、地域のアイデンティティともなっている。この住宅では、主に工場や倉庫に用いられる外壁用既製部材を用い、また、前面道路側には土木用資材である亜鉛メッキを施された有孔折板を用いた。太陽光の下ではやや冷たい印象を持つ素材だが、夜となれば有孔折板はその存在を消し、室内の暖かさを外部へと滲ませる。昼は工場、夜は住居ということだ。 3階建ての建物は、左右に2世帯を配置し2本の階段を備える。共に1、2階にはプライバシー性の高い部屋を、3階にはメインとなるリビングをおいたが、インテリアは個々の家族の要望により、全く異なるテイストに設計されている。私達は、階段の色から黒の家、白の家と呼び分けている。3階のリビングは、折戸を開いて二世帯共有の一部屋として使用出来るよう計画され、活発なコミュニケーションが行われている。一方屋上には、二家族の内、一時にただ一人だけが入れDEN ROOMと呼ばれるガラスボックスが配置されている。ここでは、地平線を眺め、瞑想し、星の瞬きから何かを得られるかもしれない。 時に人は何かに疲労し、一人になる必要があるものだ。 *「都市の拡大家族の家」は総核家族化を経験した現代の家族が、個の意識を持ち核家族を基本としながら、もう一度大家族の良さを取り戻す為に必要な機能を持つ家のこと。
|