House_K (renovation)

60代のご夫婦2人のために行われた改修。
40年前の新築時に何も無かった周辺には、大都市への通勤に便利な立地もあり、集合住宅や社宅などが建ち並び、すっかりベッドタウンへ装いを変えた。それと共に、開けていた眺望も、今では残すところ少しとなってしまっていた。住み手や、周辺環境の変化に対応できないK邸には、新たな性能が必要とされていた。

人が感じている、外に対する恐怖、見えない物への怖れ。孤独への不安。断続的なものへの嫌悪感、等、精神的な面でのバリアは強固かつ、本質的なものである。改修という限定された範囲の中で、如何に多種多様なバリアを除去できるかが、このプロジェクトのコンセプトとなった。
40年の内20年以上を、住み手が居ないままに放置されたK邸は、当時廃墟の雰囲気さえ醸し出していたが、解体が始まってみると、幸いにも建物の老築化は仕上げ・設備に留まり、く体は少々の補修補強で利用できる事が判明した。解体可能な全ての間仕切りを排除し、また、扉を引き戸とすることで開放をデフォルトとするプランとした。結果として、光・熱・音が連続的に繋がった3つのゾーンを持つ、2層100m2のワンルーム空間が生まれた。
唯一の増築部であるガラスの玄関室は、内と外の中間領域として設けられた。これは「外に対する恐怖」への回答である。また透明ガラスの間仕切りを用い、光と視線を透した。内と外、内と内の仕切には経木すだれを用い、不完全に接続、分断した。
キッチン、浴室、洗面台、扉、家具、など努めて既製品を使わないことで、限られたスペースを有効に利用し、求める空間を創り出すことが可能となった。

住み手の成長に見合うだけの成長を遂げたHouse_Kは、再び住宅となった。

宮原輝夫 / 宮原建築設計室


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